album

True Courage/the MOST

truecourage

¥3,000(税抜)

多田誠司によるライナーノーツ

1)Albatross(Seiji Tada)

アルバム冒頭を飾るこの曲は、今回のアルバム中もっともthe MOSTらしい、と思っていただける作品かもしれません。変拍子を加えたファンク調のテーマ、目まぐるしく変わる拍子、変則の小節数などなど…盛りだくさ んな感じになってしまいました(笑)いつも作り始めはここまで想定していないのですが、書いているうちに「あ、マサならここでこうやるといいかも、真由子 はこういう感じが好きかも、信ちゃんの骨太のオスティナートも欲しいな」みたいにどんどん欲張りになっていくのです(笑)真由子の七拍子もゴリゴリっと かっこいいし!自分のソロもなかなかファンキーでよいですな!てへ。この曲は、三月に白内障手術のため二週間ほど帰省した折に書いた曲の第一弾。本アルバ ム中、最も苦労した曲です(泣)メンバーの苦難の道のりを想像しながら聴いてください!

ちなみにタイトルのAlbatrossはゴルフ用語で、Parより三打少ないことを言います。「アホウドリ」という意味で、例えばPar5の第 二打、230Yを3Wで直接入れた時、あまりにあり得ない状況に馬鹿馬鹿しくなる状況を言います(笑)あ、曲調と関係ないかも。今、気づきました(笑)

2)None Of The Things(Seiji Tada)

この曲は、ライブのMCではいつも言っているのですが、私が担当している某音大の「インプロビゼーションテクニック」というクラスで、学生に 「スタンダードナンバーのAll The Things You Areのコードで違うメロディを載っけて曲を書いてくること」という宿題を出したことがありまして、その際、真面目な先生である私は(笑)学生に書かせる なら自分も書くべきだと思い、何となくさらさらっと書いてみました。ほんの五分ほどで出来たかも。それをクラスで演奏してみたら思いの外よかったので (笑)自分のバンドのレパートリーに採用しました。気持ち的にはリー・コニッツ巨匠をリスペクトして書いたつもりです。このアルバムでは、マサが全編ブラ シで攻め、クールな感じを追求してみました。

私自身、All The Things You Areという曲が大好きで、the MOSTのデビューアルバム「much,more,the MOST」でもこのコードチェンジで一曲書いています(Some Of The Things I Have)。ぜひ聞き比べてみてくださいね!!

3)adesso…Ⅰ(Seiji Tada)

adessoとは、イタリア語で「いま」という意味です。このところ、「いま」を感じることが多くあり、その思いを曲にしてみました。「いま」 を大切に生きる。「いま」出来ることをする。「いま」やりたい音楽をやる。「いま」出したい音を出す。そういったことの大切さに、この歳で初めて気づいた のかも知れません。遅すぎっすね(笑)

この曲も、難しくしようとか、どこか捻ろうとかは全く考えませんでした。「いま」浮かんだメロディを、ただただ素直に吹きたい、と思いました。 なのでソロもありません。曲と曲の橋渡しのような役目をしてくれればそれでいいかな、と。それも、FluteとSoprano Saxの二つの楽器でどうしても吹きたくて、私のワガママで二つのバージョンを入れてもらいました。メンバーの皆さん、ごめんなさい…(泣)でも今の 自分にとって、とてもとても大切な曲です。どうか皆さんの愛する人、愛する故郷、愛する全てのものを思い浮かべながら聴いていただきたいと思います。

今レコーディングからFluteが変わりました。2011年8月にオールドヘインズからAltus A1607に思い切って替えました。音色の変化、わかります?re:markと聞き比べて見てくださいね!

4)True Courage(Seiji Tada)

アルバムタイトル曲でもあるこの曲は、去年の震災直後に書いた曲です。本当にひどい状況を毎日のようにテレビなどで見聞きして、心がとても痛ん でいたときに、とても勇気づけられることがいくつかあり、そのことに感動し、その人達に捧げてこの曲が出来ました。そのうちの一つがアルトの巨匠Phil Woodsさんの来日でした。震災後、来日する予定だったミュージシャン達のキャンセルが相次いでいたとき、周囲が止めるのも聴かず「俺は一人ででも行 く」と言って来てくれたPhilさんの勇気が本当にうれしくて(泣)彼に捧げて曲を書きました。タイトルの意味は「真の勇気」。自分も、自分の音楽をやり 続ける勇気、信じ続ける勇気を持ちたい、そんな意味もこもった曲です。プロを目指してがんばっている全ての若きミュージシャンにも捧げたいと思います。聴 いてください…

5)Where Has He Gone?(Shin Kamimura)

上村信による曲解説

「数年前まで、ほぼ決まった時間に家の前の通りを走って行く犬がいました。野良犬なのか飼い犬なのかわかりませんが、いつも一人で散歩していまし た。勝手に「クロ」と名付けていつも眺めていましたが、ある時から見かけなくなってしまいました。どこかで幸せに暮らしていることを願って。」

信ちゃんの優しさがとてもよく出ている曲だと思います。ここ最近、信ちゃんが提供してくれる曲は、何だかほのぼの癒される、そういう曲が多いのです。メロディーを吹くだけで、とても幸せになれるのってうれしいですね。

6)A Vacant Mind(Mayuko Katakura)

片倉真由子による曲解説

「A Vacant Mind は、虚ろな心という意味です。人間誰しもが持っている憂いのようなものを表現したかったのと、うまく空間を使ってバンドで演奏したいというコンセプトのもとにつくりました。」

この曲をリハーサルしたとき、メンバーがそれぞれに「ピアニストらしい曲だなあ…」と言ったのが印象的です。彼女の曲はソロが難しいのですが、テーマを聴いていると、とても自然にコードが流れているのが特徴のような気がしています。こんな曲を書いてみたい…

7)Play In The Room(Seiji Tada)

この曲は、タダセイ帰省シリーズ第二弾。それまでド近眼だった自分が一夜にして老眼になるという事実にとまどいながら書いた曲です(笑)非常に 慌ただしいコードチェンジにメロディですが、故郷高松の雰囲気とは程遠い(笑)東京の狭いマンションの中で、男の子の兄弟が二人で大騒ぎしながら遊んでい て最後、弟が転んで泣きわめく、という物語です。どこのご家庭にもありがちな光景ですね(笑)

曲自体は、26−2とJoy Springが合体したような…いわゆるビバップですね。ミックスの時に真由子ちゃんとも話したのですが、私の作風がこのところ変わってきたな、と感 じる曲の一つです。やはり自分の原点にビバップがあって、そこをちゃんと表現出来るようになりたいという願望の現れか?!このあたりがセルフライナーの難 点、ですな(笑)どなたかに解説していただきたい!個人的には、真由子のソロのあとベースと二人になるところがお気に入りです。こういう曲で、肩肘張らず リラックスして吹ける、さういふ人に私はなりたい…

8)adesso…Ⅱ(Seiji Tada)

「いま」のSoprano Saxバージョンです。Sopranoも前回のアルバム「Luminescence」と楽器が変わっていることに気づいた方いらっしゃいますか?この YSS-82Zというモデルは、ネックが直付けのカーブドで、楽器の軽量化もなされていて、音が非常にまろやかで木管らしい音がします。クラリネットに近 いニュアンスが出せるのでは?尊敬するBranford MarsalisやSteve Wilsonも使用している楽器です。今回初レコーディング、いかがでしょう??

バックのドラムが、このバージョンではスティックに持ち替えて、よりジャジーに演奏しているのにもご注目ください!

9)Depressing(Masahiko Osaka)

大坂昌彦による曲解説

「この曲は新幹線フォームで新幹線を待っているときに浮かんできた曲です。あっという間に出来ました。でもそういう曲がライブでやりやすい。タイトルは深く落ち込んでいる、という意味です。」

あっという間に出来た曲は、息の長い曲になる、僕自身もそれを実感しています。彼は本当にドラマーかと思うくらい素晴らしい曲をいつも提供してくれます。アーティストという言葉がふさわしい、数少ないドラマーだと思っています。

10)Miss You(Shin Kamimura)

上村信による曲の解説

「浅草の某ジャズクラブでのライヴの合間に流れていたDVDの映像に数年前に亡くなったJames Moodyさんが映っていました。浅草といえば、ついこのあいだ亡くなったセシルモンローさんを仕事帰りによく送って行った場所でもあります。彼らはもう この世にいないんだなと思うと、なんとも寂しい気持ちになりました。」

去年から今年にかけて、ジャズ界には訃報が多すぎました…ですが、残された僕たちは、彼らの分までがんばり続けなければなりません。そういう万感の思いを込めて、演奏したつもりです。

11)Cataract Scale(Seiji Tada)

タダセイ帰省シリーズの第三弾にしてアルバム最後を飾る曲です。Cataractとは「白内障」のことです。三月に思い切って白内障の手術を地 元でしたとき、超音波を発する機械があって、その機械が手術中ずっとあるスケールを行ったり来たり奏でていたのです。それが気になって気になって(笑)右 目の時に覚えて帰って、左目の時に確認するという作業の結果、この曲が生まれました(笑)ゴリゴリ系の、これもthe MOSTらしい曲と言えるでしょうね。最初と最後にそういうのを持ってきたあたり、憎いですね私(笑)マサの素晴らしいドラミングと真由子のコンテンポラ リーなピアノソロ、最後のテーマでのほとんどヤケクソ状態のバッキングをお楽しみください!!!あ、こんなこと書くと「おとーさんっっっ!!!」って叱ら れるかもだけど(笑)

12)Play In The Room (mono) (Seiji Tada)

このボーナストラックは、レコーディングエンジニア青野さんのこだわりコーナー(笑)六曲目と同じトラックのモノラルバージョンです。最小限のマイクから拾った音をモノラルでミックスすると、とても生々しくていい音になるんです!!ぜひ聞き比べて見てください!